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若ノ鵬の提訴。
元幕内力士若ノ鵬が相撲協会に対し,解雇無効の訴えを起こした。その法的根拠は労働契約法16条である。即ち,解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、その権利を濫用したものとして無効とする、である。
大麻を吸引し、吸引用具も発見されたのであるから、客観的に合理的な理由があるのは明白である。従って,争うとすれば,解雇処分が社会通念上相当か否か、という点になる。若ノ鵬の弁護士は過去の処分例と比較して、解雇という処分は重すぎ、相当性を欠いているとして解雇の無効を主張するつもりらしい。過去の処分例とは、拳銃の不法所持により書類送検された事件では譴責だけ、マージャン賭博で逮捕された事件では減棒で済まされたことなどを指している。確かに、それらの事件での処分をみれば相当性を欠いていることは否定しようがなく,裁判で争う価値は十分にあり,勝算もあるであろう。問題は担当する裁判官の社会通念次第ということになろうか。 しかし、若ノ鵬が仮に裁判で勝ったとしても、再び相撲協会に戻れるとも思えない。なにより、観客が許さないであろうし、観客が許さない限り,興行としての大相撲は成り立たないからだ。とすれば、別途に解決策を講じざるを得ないのであるが、その解決策として労働契約法の論議の過程では金銭的解決というものが検討されていた。すなわち、解雇が無効になった場合、原則としては原職復帰であるが、実際にはスムーズにはいかない。争いの過程でのトラブルから感情的なもつれもあるし,いったん損なわれた信頼関係を回復できるどうかもわからない。そこで、救済的手段として、雇用関係を解消する代わりに、金銭的な給付を行い、紛争を早期に解決しようとする制度を法制化しようとした。 しかし、これは労働者側の反対で見送られた。見送られた理由は、使用者側に安易な解雇を誘発させる危険が大きいというものであった。しかし,法制化は見送られたとしても,労働審判制度に寄せられる解雇事件の殆どは金銭で解決されているという現実が既にある。従って、若ノ鵬の場合も金銭的に解決されたとしても、別におかしくはなく、問題は金銭的な給付がどれほどになるかということではないか。ちなみに、若ノ鵬は現在の相撲協会の寄付行為施行細則では養老金の支給は受けられるし、厚生年金保険の脱退一時金の請求もできる。解決金はそれとは別ということになろうか。 いずれにしても、今回の事例は、いずれ労働契約法が改正されることがある場合、参考事例の一つに含まれることになるのではないか。
by nogi203
| 2008-09-17 14:27
| 労働基準法の穴
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