亀田興毅が肘でもいいから目に入れろ、という自分の言葉の釈明を行なっている。
それによると、あれは亀田家のボクシング用語だそうである。本当の意味は、肘をあげて、しっかりガードして、目の位置を狙え、という意味だという。そして、亀田家のスタイルの基本だそうである。
亀田家のボクシング用語なるものが世間一般に浸透していて,誰もが知っているならば,この釈明は通用するであろう。しかし、今回の世界タイトルマッチが終わるまで,このような亀田家のボクシング用語なるものが存在することなど、世間一般の誰も知らなかった。知らなかったのであるから,言葉通に受け取られても仕方がない。それが理屈というものだ。
これは、民法93条でいうところの「心理留保」に相当するのではないか。
即ち,相手が真意で言っているのではないと知っていて,その言葉を聞いたのであれば,聞いた方は本気にしないから、害は発生しない。しかし、相手が真意で言っているのではないと知らず、相手の言葉を聞いたのであれば、聞いた方は本気にするかも知れず、害が発生する可能性がある。だから、言葉通に受け取られても仕方がない、ということだ。
世間一般は亀田家のボクシング用語など知るはずもないから,興毅のいったことをそのまま受け取る。それが当たり前である。あとから釈明などしても通用しない。
以前、俳優の萩原健一が暴力団の名前をちらつかせ,出演料を受け取ろうとした事件があった。萩原健一自身は冗談のつもりだったらしいが、結局、刑事処分を受けた。相手が冗談とは受け取らず,受けた言葉に脅威を抱き,心理留保が成立したためである。
亀田興毅の場合も同じである。処分は当然である。