議員年金は、国会議員互助年金制度から支給されている年金である。この年金には、税による負担が72.7%もある。税による負担が認められているということは、根拠となる法律がある、ということである。その法律とは、国会議員互助年金法であり、国会法36条から導き出された法律である。その国会法36条の条文は次のとうりである。
議員は、別に定めるところにより、退職金を受けることができる。
別に定められたものが、国会議員互助年金法という法律であり、しかも、その内容からみると、議員年金は退職金として位置付けされていると解することができる。
そこで、退職金というものについての、その支給根拠である。
一般の民間企業の場合、企業と社員の雇用関係を規制するものは、労働基準法である。しかし、この労働基準法には、退職金についての根拠となる条文などはない。つまり、企業は社員に、退職金を払わなくても違法ではない、ということである。
ではどうして、企業は社員に退職金を払っているのかといえば、企業と社員の間で、退職金を払うと約束があるからである。逆にいえば、約束さえなければ、退職金など払おうと払うまいと企業の自由ということになる。それは、民間企業の社員にしてみれば、約束してくれて始めたて、退職金の請求権が得られるということである。
そこで改めて、議員年金を振り返ってみる。一般の民間企業の社員が約束してもらって、始めて退職金の請求権が得られるのに対して、国会議員は、そのような約束を求めることなく、既に、既定の権利として退職金が支給されることが、法律で保証されているということになる。これは、憲法14条、法の下の平等に反する。よって、議員年金は憲法違反である。
という結論になるが、どうしても憲法違反という非難を避けたいのであれば、労働基準法に退職金としての規定を追加すればよいではないか。そうすれば、いちいち、労使で退職金についての協定など結ぶ手間が省ける。国会議員も民間企業の社員も、退職金が法律で保証されるということになるではないか。