議員年金は年金という名前がついているが、本来は退職金である。それは、国会法36条、議員は別に定めるところにより退職金を受けることができる、という規定により明白である。だから、支給額への国庫による助成が現行で72.7%、答申案で50%程度といっても、国民年金の基礎年金に対する国庫負担が3分の1、というのと比較するのは適切ではなかろう。比較するならば,退職金に対して国庫補助がある他の制度と比較すべきであろう。
退職金に対して、国庫補助がある制度には、介護保険事業に係わる特別養護老人ホームなどの社会福祉法人の職員に対する国と都道府県からの掛け金の3分の2の助成がある。しかし、この助成金も介護保険成立後、介護事業に参入した民間業者との競走上の公平性を図る意味合いから、2006年度には廃止される予定である。もっとも、既加入者については、退職時までは助成が継続されることにはなっている。
他には中小企業退職金共済制度がある。この制度では、新規加入する企業には掛け金の3分の1を国が2年間助成し、掛け金を増額する企業には増額分の2分の1を助成する。
議員年金には非難が多いが退職金に国の助成が入る制度としては、このような制度もあるのである。だから、いちがいに議員年金を非難することはできないが,ただ問題は助成率の異常な高さである。少なくとも、国民の理解を得られる程度の助成率に見なおすべきではないか。
議員さんであるから任期があるので、中小企業の従業員と単純な比較をすることはできないが、せめてその助成率に近づけるか、あるいは議員年金の助成率を低下させ、その分を中小企業の従業員の退職金の助成率に上乗せでもすれば、国民の理解を得られるのではなかろうか。