ロベスピエールが外敵と内政による革命政府の危機を、いくら恐怖政治によって乗り越えようと訴えても、革命政府の最高意思決定機関として国民公会が存在する以上、その意思を無視して恐怖政治を布くことはできなかったはずである。
だが、危機が外政でも内政でも、より現実味を帯びてくると、もはや、国民公会は民衆への対応に自身を持てなくなってくる。そのようになった時、民衆への全責任を引きうけてくれる別個の機関があったとすれば、国民公会はその機関に行政の指導を委ねることを承諾せざるを得なくなるであろう。
そして、その機関こそが国民公会の委員会の内の一つであるにすぎない公安委員会であり、その公安機関にロベスピエールが参加すると、そこには、彼の主張通の恐怖政治ガ生まれることになる。 そしてその結果が、ジロンド派の大量処刑であり、マリー・アントワネットの処刑などであろう。
一方、有能な若手司令官を登用するという軍の方針転換により登場するのが、ツーロン軍港をイギリスとジロンド党の支配から奪回したナポレオン・ボナパルトということになる。