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確定拠出年金という選択 その3
では、確定拠出年金とはどのような年金か。
そもそも退職給付会計で、企業債務が発生するのは、賃金として確定した退職金を企業が金利をつけて管理し,それが退職まで、固定してつけた金利以上に、運用益を生み出せなくなったからである。投資環境のよい時代は、つけた金利以上の運用益を生み出すことは、それ程,困難なことではなかった。仮に、つけた金利以下の運用益しか生み出せなくても、あとから不足分を埋め合わせるだけの十分な回復力があった。 だから、金利を固定させ,金利を上回る運用益を生み出せる、従来の確定給付型の企業年金は、企業に有利であり、楽々と運営できる制度であったということができよう。 ところが、低成長、低金利の時代になると、そのような楽々とした環境は消滅する。金利は固定され,固定されたままの金利で、退職給付債務は膨らんでいく。有利どころか,企業の存続にもかかわってくる。 そこで、企業年金の制度そのものに手を加えなければならない、ということになる。手を加えるとすれば,まず、金利を固定するという部分があるであろう。しかし、これはキャッシュバランス型の企業年金にかかわることであり,今回はとりあげない。 ではそれ以外のところで,手を加えるとすれば,ということになると、企業が管理している部分になる。 本来、従業員に支払わなければならないはずのものを、企業が管理下に置いているのであるからこそ、従業員に対する代償が必要なのであり、それが、金利をつけるという形で現れてきているのである。そして、その金利をつけるということで頭を悩ますというのであれば、元々の企業が管理するという部分を再考せざるをえなくなる、ということになる。 つまり、企業は退職金の原資として拠出した資金を、企業が管理するというのではなく、従業員自身の管理に委ねてしまうということである。そうすれば、管理の代償としての金利は負担しなくてもよくなり,退職給付債務が以後、膨らんでいくということもない。債務拡大の流れが断ち切られるのである。 もちろん、このことによって、運用益を稼ぐという企業側のメリットはなくなるが、それはやむをえない。むしろ、そのメリットを従業員側に与えることによって,従業員の同意を求めるということになろう。 かくして従業員は毎月、給料日ごとに、各従業員個人の口座に、退職金の原資としての拠出金が振り込まれ,運営管理機関から提示された金融商品の中から,自己の責任で投資対象となる金融商品を選んで運用していくという確定拠出型の企業年金に参加することになる。 しかし、管理,運用責任を従業員に転化し、金利負担を免れたといっても、企業経営者の責任がすべて解消された訳ではない。なぜなら、この新しい企業年金制度の採用は、どちらかといえば、企業経営者側の勝手な都合から求められたものであり,それならば、勝手な都合の代償も当然、負うべくであるからである。 そして、その代償の最も大きなものとして,法に明記されているのが、投資教育義務である。今まで、企業にまかせっきりで、自分で投資をするなどということ経験をもたない従業員に、いきなり、自己責任で投資をせよ、などという話は乱暴である。自信をもって、投資できるだけの知識を与えるのが、確定拠出年金の導入を求めた側の責任として当然のことであろう。 ただ,この投資教育義務は、努力目標にすぎず、その点、従業員にとって不安ではあるが、経営者にしても努力義務だとして、ないがしろにしていては後々、恐ろしい目に会うかもしれない。例えば,投資に失敗し、予定通りの退職資産を築くことができなかった従業員が、投資教育の不備を訴え,損害賠償訴訟を起こせば、教育内容次第によっては、企業側が敗訴することも十分に考えられる。やはり、いったん確定拠出年金を導入したとすれば、企業は従業員に対し、誠実に投資教育を行い,そして、教育記録を保存しておくことが必要であろう。
by nogi203
| 2005-01-07 16:34
| 年金話あれこれ
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