国家という共同組織体が発展、拡大するには政治的課題に現実的な対応が出来るか否かにかかっているのではなかろうか。それは現場において実際の処理にあたる者にとっては、そのような人物が指導的地位に座って、彼を背後から支えているか否かという問題でもある。
という意味で、17世紀フランスがヨーロッパの大国としての地位を固めるについて、そのような現実的対応の出来た人物としてブルボン王朝を創始したアンリ4世と、ルイ13世治下の宰相として内政、外交に辣腕を振るった枢機卿リシュリューがあげられるのではなかろうか。
アンリ4世については、新旧両派の争いをナントの勅令によって、新教徒への諸権利をも公認することによって両派を調整し、リシュリューについては同じ旧教国スペインの勢力拡大を抑えるため、あえて、新教徒側のドイツ諸侯やデンマーク、スウェーデン国王を支援したりするなど、不毛な宗教論議に加わることなく、いかにすればフランスの国益に叶うかという現実的な視点に立って政治的な決断を下していると思われる。