戦争を開始し、そして継続するには大義名分は不可欠である。その大義名分も国民すべてが共鳴し、無条件に従う神聖なものであればあるほどよい。しかし、そのような大義名分は容易に見つかるものでなない。だからこそ、為政者は苦しむことになる。
ところが、イスラムの場合、そうした大義名分はただ一言、ジハードで成立する。これは為政者にとって、国民を戦争へ向けて意思統一するための効率的な政治手法ともなる。
マホメットの死後、イスラムの勢力がアラビア半島から、中東、北アフリカ、そしてヨーロッパにまで拡大することのできた要因の一つに、この大義名分が簡易に成立することをあげたい。