「無気力の相撲」と「八百長」はある意味イコールだと思っている、これは2月2日、記者団の質問に対する放駒理事長の発言である。この発言の意味は大きい。なぜなら、財団法人日本相撲協会の寄附行為施行細則、懲罰規定には八百長の定義について特には何も書いていないからである。
故意による無気力相撲懲罰規定 第6条
「故意による無気力相撲をした力士に対する懲罰は、除名、引退勧告、出場停止、減棒、けん責と する。」
書いてあるのは無気力相撲についてであり、八百長相撲とは書いていない。それが放駒理事長の発言によって、無気力相撲イコール八百長相撲と解釈されることになったのであるから、この懲罰規定第6条が使えることになったということになる。もとより、これは協会の裁量に属することであるか、裁量に不満があれば、訴えればよいことになる。しかし、今回の場合、どうみても訴えても勝てるとは思えない。
そして、退職金の支給に関しての影響もある。以下のような規定である。
「寄附行為施行細則第94条及び故意による無気力相撲懲戒規定による除名処分を受けたものには 退職金は支給しない。」
無気力相撲イコール八百長相撲と解釈されたのであるから、このも条文も使えることになる。
そしてもうひとつ。寄附行為施行細則第94条による除名には特別決議がいるが、今回の場合、除名されるとしても 第94条による除名ではない。懲罰規定第6条による除名である。とすると、以下の条文も使うことになるかもしれない。
第5条
「理事会は委員会の提出した結論に基づき、寄付行為施行細則第94条によらず、理事会決議をも って懲罰を決定するものとする。」
調査委員会が設置されたのであるから、委員会から結論が出されれば、理事会は第94条の特別決議によることなく懲罰処分としての除名を行えることになる。そしてその結果、退職金の不支給を決定できることになるから、ことほど左様に、理事長の無気力相撲イコール八百長という発言の持つ意味は大きい。
問題は、除名処分にまで踏み切れるかどうかであるが、事の重大性からみれば、当然踏み切るべきであろう。