菅直人氏が新しく内閣総理大臣に就任した。菅直人氏といえば、かって、サンデープロジェクトの中で、国民新党の亀井静香氏と「そんな話は聞いていない」「あんたの耳が悪いんじゃないか」などと喧嘩をしていたことがある。その国民新党とは、なお、連立を継続するという。
国民新党といえば、郵政改革法案を国会通過させることに執心しているが、このような関係で果して、国会を通過できるかどうか怪しくなってきた。
怪しくなってきたといえば、労働者派遣法の改正案である。そして、国民新党は労働政策審議会が妥当と認めたこの改正案についても、一部修正を求めている。
従来の労働者派遣法では、派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とした行為はしないように努めることになっていたが、改正案では、期限を定めないで雇用される派遣労働者については、この規定は適用しないことになった。特定すること目的とする行為とは、事前面接を行うとか、履歴書の送付求めるなどというものである。派遣契約では派遣先は派遣労働者を雇用するのではないから、必要ではないとされる行為である。
国民新党は、この改正部分を従来のまま適用することにしておけ、というのである。それは社民党と共同で行ったことであるが、その社民党はすでに連立から離れた。社民党と共同で行うと言うのならともかく、残った国民新党だけで要求するとなると、郵政改革法案に加えて派遣法改正案にまでということになり、まさに国民新党だけの要求に対しあれもこれも応じるということになりはしないか。国民新党のような少数政党がそこまで要求できるものなのかという疑問が残る。
それはともかくとして、改正案が答申どうりに国会を通過すれば、なにより嬉しく思うのは労働政策審議会の先生方ではなかろうか。なにしろ、妥当と認めた改正案が一部とはいえ拒絶されて、相当な不快感を示していたのであるから。