吉本興行の漫才コンビ,千鳥の大悟さんのお父さんがリストラにあったという。大悟さんがそのことをテレビ、ラジオでしゃべっていたら、それを聞いた事業主が真意はわからないが、お父さんを週2日間だけ勤務できるようにしてくれたということである。そこで、この週2日間ということである。実は,週2日間というのは意味がある。厚生年金保険,健康保険,雇用保険すべてに加入させたくないという意味である。
厚生年金保険は週労働時間が通常の労働者の週労働時間の4分の3未満ならば、適用を除外にできる。通常労働者の週労働時間が40時間ならば、4分の3未満は29時間である。1日8時間労働ならば,週4日働くと32時間になり、29時間を上回る。しかし、3日ならば,24時間であるから,適用除外にできる。健康保険も同様である。
雇用保険は週労働時間が30時間未満20時間以上ならば、短時間労働被保険者となり、雇用保険が適用される。1日8時間、週3日ならば,24時間であるから,雇用保険は適用されてしまう。適用除外にするためには週の労働日数は2日にしなければならない。ということは、厚生年金保険,健康保険,雇用保険すべてを適用除外にするためには、週の労働時間は2日でなければならない、ということになる。だから、大悟さんのお父さんをリストラした事業主は,2日間だけ勤務することを認めた。大不況下、労働コストの削減を迫られる事業主としては,ぎりぎりの選択ということか。
しかし、厚生年金保険,健康保険に加入できないとなると、年金では国民年金、健康保険では国民健康保険に加入しなければならない。大悟さんのお父さんが自身で保険料を負担できるのであれば問題はないが,負担が重いというのであれば、大悟さんが代わって保険料を納めてもよいわけである。その場合,お父さんに現金を渡して,お父さんに納付させるのは利口ではない。それよりも、大悟さんが自身の口座から保険料を払うことにすれば,それは所得控除の対象となる。確定申告を行うときに,証明書を添付すれば、節税対策になる、ということである。