日々の出来事から、思ったこと、感じたことを綴らせてもらいます。
by nogi203
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中国には工会というものがある。

 中国には工会法というものがあるという。国有企業や外資企業から労働者を保護するために設けられた法律ということであるが、いまでは民間にまで適用が拡大しているという。この法律に基づき、中国において企業活動を行おうとすれば、工会の設立は強制的なものとなる。
 工会の目的が労働者の保護にあるというのであれば、それは日本における労働組合に相当するものであろう。労働組合には委員長というものが存在するが、工会ではそれに相当する職務は主席と呼ばれている。労働組合の委員長は選挙によって選ばれるが、工会においても主席は選挙で選ばれることが工会法で担保されている。しかし、労働組合の委員長選挙が民主的な方法を要件としているのに対し、工会においては民主的とはいっても、その方法は疑わしい。なぜなら、主席となる者は共産党の定めた厳格な審査を経なければならず、結果的に共産党幹部でなければ主席にはなれない仕組みになっている。共産党幹部が労働者側に立てば、労働者保護は確保されるが、傾向として、労働者の利益より、企業の利益が重視されているという。
 この工会主席の選挙の仕組みとその結果は、香港行政長官の選挙とそれがもたらす香港の未来の姿を連想させる。香港デモに参加する民衆は当然のこととして、それを感じ取る。だからこそ容易にには引き下がることはできない。
 一方、中国政府である。民衆の要求を受け入れることは、単に香港の行政問題にとどまらない。その行き先は工会の選挙方法にまで拡大するのではないかという懸念を抱かせるものではないか。工会の選挙方法が改められれば、工会主席は共産党の統制を離れ、労働者の利益を重視する方向に転換する恐れが出てくる。中国の労働紛争は毎年60万件超発生しているというが、それだけではすまないのは容易に想像できる。
 では、どうするかである。中国政府は昨年から3年計画で日本の厚労省の協力を得て、日本の労働基準監督行政を研究するため、労働行政の役人を研修のために派遣している。日本の労働基準監督署が戦後、混乱した日本の労使紛争を終収するのに成果を上げたことに注目しての要請であるということであるが、日本の労働監督行政がそのまま中国の労働紛争に通用するかどうかは確信を持てるものではなかろう。それより、納得できないのは、そのための費用が日本のODA予算から拠出されていることである。向こうから、協力を要請してきたのであるから、費用は向こうが持つのが当然であろう。それが、日本側が負担するというのは、どうしても納得できない。それも、日中関係が冷え込んでいるこの時期においてである。

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# by nogi203 | 2014-11-05 14:07 | その他

年金事業運営改善法とは。

 年金事業運営改善法という法律ができている。法律の概要の中に、年金記録の訂正手続きの創設という項目がある。年金記録の訂正と言えば聞こえはいいが、要するに、消えた年金記録の回復手続きのことである。これまでこの訂正手続きは、総務省管轄の年金記録確認第三者委員会の判断及びあっせん案に基づいて行ってきた。あっせん案等は申し立ての内容が、社会通念に照らし、「明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと」ことを基準に作成してきたが、今回、新たに記録の訂正手続きが法定されたことは、この基準では記録の回復には限界があると認めたことになる。現に、2014年2月時点、まだ2112万件の未整合記録が残っている。
 となれば、制度の内容である。注目点は被保険者等による年金の原簿記録の訂正請求が法律上の権利として認められたことである。今までの第三者委員会への申し立ては事実上の行為ということで、あっせん案に不服があったとしても、審査請求もできず、訴えても却下されていたそうであるが、これからは、法律に基づいて地方厚生局に設けられる地方年金記録訂正審議会による年金記録の訂正が行政処分とされることから、不服審査や訴えも出来ることになるということである。
 そして何より重要なのは、訂正に関する基本的な考え方や判断基準が、新たに定められる基本方針に沿って厚生労働大臣が定められることになったことである。もっとも、基本方針については社会保障審議会下の年金記録訂正分科会の審議、答申を経ることになっているが、「明らかに不合理ではなく、一応確からしい」などという基準になることはあるまい。それでは迅速化という法の要請に応えることはできない。
 となると、果たして、成果は出るかということになる。訂正手続きが審査請求や提訴の対象となるのであるから、それだけを見れば、問題はより込み入り、記録回復は長引くようにも見える。しかし、重要なことは、記録の訂正請求を被保険者の権利として認めたことである。請求することを権利として認めたということは、請求を受ける側が弱腰になった証である。受ける側とは厚生労働省である。厚生労働省は2112万件という数字に弱腰になっていると見る。当然、審査は甘くなるとみるが、それは厚生労働大臣が定める基本方針を後ろ盾とするものとなるから、ためらうこともなかろう。

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# by nogi203 | 2014-10-09 14:56 | 年金話あれこれ

両国勇治郎とは。

 新入幕で優勝すれば、大正3年5月場所の両国以来ということで、逸ノ城と共に両国勇治郎という力士も気になった。プロフィールは以下の通りである。
 明治25年(1892)3月18日生。大正3年(1914)入幕、最高位は関脇、本名松崎勇治郎、172センチ90キロ、幕内通算成績 92勝72敗3分 勝率5割6分1厘 優勝1回

 下位時代も強く,十両で2場所連続土付かずの好成績を上げて入幕した場所に優勝、一躍人気者になる。
 美男、腕力有り,足腰抜群、左四つのやぐら投げ、小手投げ、絡み投げなどハツラツとしたスピーディーな動きと連続技で大暴れした。そのやさしげに見えるふくろはぎにひとたび力が入ると鉄のように引き締まった。両国に足を蹴られた相手の足は、掛けられたところにひどい擦過傷ができた。正真正銘の筋金入りだった。
 酒が入れば、芸者衆に「明日はやぐら投げだ」「あすはつかみ投げを見せてやるから、絶対見にこい」と広言。実際、やってみせた。こんなふうだから、大技を狙いすぎて小敵に不覚を取ることもしばしば。稽古場では栃木山にこそ分がなかったが、横綱大錦をころころころがしたそうな。
 晩年弱ったが、大正10年春までの成績なら勝率6割5分5厘にはねあがる。作家の田村俊子がその男前と相撲ぶりに惚れたそうである。

 以上古今大相撲事典より。(読売新聞社発行)

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# by nogi203 | 2014-09-29 14:42 | その他

どうなる消費税、その2.

 前回に続き、消費税引き上げに伴う支援対策である。
 前回は、主に高齢の低年金受給者を対象にした支援対策であった。しかし低年金と言えども、年金を受給していることに間違いはなかろう。しかし、高齢者の中には、その年金も受給していない人たちがいる。受給していない理由は、年金保険料を納めていなかった、もしくは納めていても受給資格期間を満たしていなかった、というケースが想定できる。問題は、それらの人たちへの支援対策はないのかということである。
 全く納めていなかったという人は論外であるが、国民皆年金のもと、それは想定しにくい。となれば、日本国内に住所を定めていれば、国籍に関係なく、誰でも多少は国民年金に加入して保険料を納めていた期間はあるものと想定できる。支援策はそれらの人たちの内、資格期間が10年以上の人たちを対象とするものである。これによって、受給資格期間はそれまでの原則25年が10年に短縮されることになる。つまり、それまで受給をあきらめていた資格期間10年の人も老齢基礎年金を受給できるようになるのである。しかし、そこで国として悩ましいのは、老齢基礎年金の負担の2分の1は税金であるということである。となると、財源という問題がついてくることになる。
 この規定を定めた年金機能強化法では受給資格期間の短縮は平成27年10月に施行予定となっている。言うまでもなく、平成27年10月とは消費税10%への引き上げが予定されている月である。ということは、この受給資格期間短縮に伴う税負担の増加は消費税引き上げ分を予定しているとみなすしかない。となると、消費税増額が見送られたとすれば、この受給資格期間の短縮も見送られるのかという疑念が生じる。
 機能強化法では高所得者(年収850万円以上)の基礎年金額の一部が支給停止されることになっていて、その分が充当できるとしても、とても足りるものではあるまい。となると、別の予算を削るか、国債をさらに発行するということになる。そんなことになれば、また大騒動である。やはり、消費税引き上げは避けることはできないものと考える。

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# by nogi203 | 2014-09-09 13:48 | 年金話あれこれ

どうなる消費税

 年金生活者支援給付金法という法律が成立している。(平成24年11月26日)但し、施行は平成27年10月1日である。平成27年10月と言えば、消費税の10%への引き上げが予定されいる月である。
 法律は消費税引き上げによって生活が苦しくなる低年金受給者の生活を配慮して、年金額に加算を行おうとするものである。この法律によって恩恵を受けるのは、主に、低年金受給者であるが、低年金となった原因は国民年金保険料を納めなかった、もしくは納められなかったことにあるのであるから、それでは、納めた人たちにとっては不公平であるという理由で、それらの人たちの内で一定範囲の人たちにも、同様の加算を行うとするものである。さらには、同じ年金というのであれば、障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者にとっても生活が苦しくなることは同様であるので、同じく加算の対象とするというものである。対象者は合計で約790万人に達するという。
 支給される額は最低でも月額5000円、最低でもというのは、保険料納付済期間に応じて加算額が増える仕組みが導入されているからである。月額5000円ならば年額では6万円、それに加算があれば、場合によっては7万円、8万円となる人たちも出てくることになる。
 しかし、この恩恵は世帯単位で適用されるものであり、しかも世帯全員が住民税非課税であることが要件となっている。住民税は前年度の所得に課税されるものであるから、そうすると家族の内誰かが前年度から会社勤めをしていて給与所得があった場合、対象から外れることになる。つまり、低年金者であるからといって誰でもが恩恵を受けられるというわけではないということである。
 問題はこの支援給付金の財源である。法律の施行が平成27年10月とされていることから、消費税増税分を予定しているものと思われる。となると、消費税が引き上げられるか否かが気になってくる。引き上げは景気動向を踏まえて安倍首相が年内に判断するといわれているが、では仮に引き上げられなかった場合、この法律の施行はどうなるのかである。見送られれば、低年金生活者への生活支援は見送られることになる。
 しかし、この法律の第6章第26条には以下のように書いてある。
「年金生活支援給付金の支給に要する費用は、その全額を国庫が負担する」
 国庫とは税金である。しかし、特に消費税とは書いていない。ということは、消費税増額が見送られたしても、法律の施行に問題はないということにならないか。もっとも、その場合、他の予算からこの法律にかかわる部分を引き抜いてこなければならない。それはそれで大騒動を引き起こすことになる。とすれば、やはり、消費税は何が何でも引き上げなければならない、と考えるはずである。
 一方、消費税引き上げに反対する側である。特にそれに反対する政党である。消費税引き上げが見送られると、低年金受給者の生活は苦しいままに据え置かれることになる。それを支援しようとするのがこの法律なのであるから、反対するなら支持者への説明が必要になる。その説明は苦しいものになるのが予想される。となると、口では反対を唱えながらも内心は引き上げてもらったほうがいいと思うことになるのではないか。という双方の思惑を踏まえて予想すると、結局、消費税は引き上げられることになる、というのが結論である。

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# by nogi203 | 2014-09-03 13:27 | 年金話あれこれ

誤報。

 従軍慰安婦に関する朝日新聞の誤報問題である。誤報原因の一つに女子挺身隊と従軍慰安婦の混同があったとされている。特に、朝鮮半島から動員された女子挺身隊についての混同である。一部が慰安婦にされたというのであるが、それならば、女子挺身勤労令(勅令第519号)による法的扶助は受けていたのか、という問題を明らかにしなければならない。
 そもそも、それまで強制的なものではなかった未婚女子による女子勤労挺身隊が、強制的な制度に移行したのは昭和19年8月23日の女子挺身勤労令によってである。この勅令によって勤労は奉仕するものから就職するものへと移行し、当然のごとく、健康保険や厚生年金法の適用を受けることになった。(昭和19年、労働者年金法は厚生年金保険法と改められ、女性も加入すことになる。改められた理由は労働者という言葉が社会主義を連想させるためであったといわれている。)
 この厚生年金加入期間は厚生年金額にも反映され,裁定請求できるものではあるが、ただ、確かに勤務していたことの立証が難しい。理由は当時の厚生年金保険被保険者台帳や健康保険厚生年金保険事業所別被保険者名簿が戦災によって失われている事例が多いからである。結局、当時一緒に勤務していた同僚の証言や事業所の社史、工場記録などにより総合的に判断せざるを得なくなるのである。
 以上のことから見て、昭和19年8月以後、女子挺身隊として勤労動員されていたのであれば、厚生年金保険にも加入していて、その記録が台帳や名簿に残されていなければならないことになる。朝鮮半島から動員されたとされる女子挺身隊もその名前や事業所名が台帳や名簿に残っていれば、軍需工場で働いていたという明白な証明になる。だが、その名簿や台帳がないとなると、確認作業ができない。そして、そういう事情を知っているものがいるとすれば、女子挺身隊に関する作り話はいくらでもできる。従軍慰安婦にされたというのもその一つではないのか、と疑ってもみる。

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# by nogi203 | 2014-08-22 14:56 | 年金話あれこれ

勤務環境改善、できるか?

 牛丼チェーン「すき屋」の勤務環境が問題となっている。チェーン店の一部が休業状態になっているのはその勤務環境に問題があり、従業員が不足するのもそれが原因があるということである。「すき屋」は自ら第三者委員会を立ち上げ、その報告書が先日公表された。報告書で指摘された労基法違反は以下のとおりである。
 34条休憩 35条休日 36条時間外労働 37条割増賃金 41条管理者適用除外 24条賃金全額払い 32条労働時間 61条深夜労働 などであるが、報告書には記載されていないがそのほかにも疑わしいのは 第2条第2項労働条件の決定 労働者及び使用者は労働協約、就業規則及び労働契約を順守し誠実にその義務を履行しなければならないという点と、第5条強制労働の禁止(家に2週間も帰れないなどというのはこれに該当するのではないか)である。以上は労基法違反であるが、労働安全衛生法についてもいくつかの違反を指摘されている。
 報告書は以上の点を指摘した上で、早急に勤務環境を改善するように勧告しているのであるが、勤務環境の改善ということでは医療機関も同様の問題を抱えている。医療機関においては医師の偏在化、勤務医の過重労働、看護職員の不足など様々な問題を抱え、その原因として勤務環境の悪化があると分析されている。そこで、厚生労働省はこれまでの労基法中心の監視的な部分だけでなく、事業主の自主的な勤務環境改善努力を促そうとしている。ただ自主的と言っても医療関係者にとって労務管理は専門外である。そこで、厚労省はガイドラインを作成し、さらにその取り組みをバックアップするために医療環境改善支援センターなるものを各都道府県に設置することを改正医療法で定め、そこでのアドバイザーとして社労士を配置することにした。
 このことは、自らの勤務環境を自らの力で改善することは期待できない、外部からの力を借りなければ無理であると、言っているようなものである。まぁ、そのとおりであろう。
 ということを踏まえて、「すき屋」の社長の会見での発言である。社長は辞任する考えはない、問題を解決することが私の責任である、と語っている。この発言の意味が、勤務環境の改善は自分が主導して行う、もしくは外部の力を借りるとしても、自分の主導に従ってもらう、というような意味であるとすれば、「すき屋」の勤務環境の改善は期待できない、成功体験があるだけになおさら期待できない、と言っておこう。

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# by nogi203 | 2014-08-05 13:38 | 労働基準法の穴

労働契約法第20条対策。

 労働契約法20条は昨年4月改正の労働契約法に新設された条文である。労働契約に期間の定めがあることによって、無期契約労働者との間に労働条件等に不合理な相違があってなならない、という内容である。労働条件等とは賃金、労働時間はもちろん、災害補償、服務規律、福利厚生、付随義務など一切の待遇が含まれるというのである。
 厄介なのは、設定されてある程度の期間が経過している条文であれば、判例等により抵触の予測が可能となるが、昨年4月成立の条文であることから、その予測がつきにくい点である。そのため企業の対策も手探りとならざるを得ない。さらに厄介な点は、条文には民事的効力があるとされていることであり、その結果、有期契約労働者は条文を根拠にして、損害賠償請求ができることになっていることである。すでに、東京メトロの売店で働く有期雇用の契約社員や郵便局の有期雇用者がそれぞれこの条文を根拠に提訴に踏み切っている。提訴金額は前者が約4200万円、後者が約740万円である。
 請求金額が高額であることから、企業としては判決には無関心ではいられない。場合によっては、新たな対策が必要となるかもしれない。
 1980年代後半から90年代初頭にかけて、アメリカでは労働裁判が多発し、企業はその賠償金額の高さに悩まされたという。そのため、企業は労働紛争を裁判外で処理するADRを積極的に導入したというが、日本でもその必要性が大きくなってくるかもしれない。現在、アメリカでは就業規則に「個別紛争処理はADRで---」などと記載されているものもあるというから、日本でも一考すべきではないか。
 ただ、ADRは出席するか否かは当事者の任意であり、日本の場合、事業主が欠席する場合が多いという。就業規則に労働紛争のADRでの処理を定めるのであれば、事業主がまずADRに出席するというふうに意識を改革しなければならないのではないか。

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# by nogi203 | 2014-07-11 14:17 | その他

所得代替率が低下していく。

 先月27日、厚労省社会保障審議会の年金部会は将来の年金受給水準に関する試算を発表した。それによると、公的年金の受給水準はいずれ、現役世代の男性の手取り収入の40%代まで低下するという。理由は物価の上昇に対し本来連動して増えるはずの公的年金額が物価が上昇しても上昇した分増えないという制度が適用されるためである。いわゆるマクロ経済スライドであるが、この制度についてはこのブログでも、再三書いてきた。(2012,2,14 公的年金の未来、2004,12,13 マクロ経済スライドとは)
 この制度の合理性はこれからの日本社会においては15歳から64歳までの人口つまり生産年齢人口は減少する、そして平均余命はまだまだ伸びるという前提によって説明される。すなわち、年金保険料負担世代は減少し、受給世代の受給期間はより長くなる、ということである。保険料負担が固定され、保険料収入が限定的であるとすれば、受給額を調整しなければ公的年金制度の維持は望めない、という判断からである。
 この制度下において、所得代替率を現状のまま維持するとすれば、生産年齢人口がこれ以上減少せず、平均余命がこれ以上伸びないということにならねばならない。しかし、このようなことを現状で望むことはできないし、現実的でもない。
 では、政府としてはどうすればよいのか。これまで政府が強調してきたのは、私的年金への加入など、自助努力による資産形成であり、そのための拠出金に対する社会保険料控除など公的支援であった。しかし、それだけでは無責任ではないのか、という気がしないでもない。なぜなら、私的年金は運用次第によって、成果が変動するものであり、それは低リスク商品であっても変わらない。とすれば、その不安を払拭するために運用環境を期待の持てるようにするのが政府の責任ではないかという点である。。
 安倍首相は年金資産の株式運用比率を高めるよう指示を出した。リスクの高い株式運用に年金資産を投入することに批判もある。しかし、この指示が運用環境の好転に期待を持たせるものであることは間違いない。一方、NISA制度の創設など、投資を促すための制度もスタートしている。投資環境は変化している。所得代替率の低下分を私的年金でカバーさせようとするのであれば、この投資環境の変化をもたらした判断は評価したい。しかし、投資にはリスクが伴う。リスクを回避するための投資教育、そして、証券市場の透明化対策は忘れてならない。
 

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# by nogi203 | 2014-07-01 16:11 | 年金話あれこれ

AKB襲撃事件は労災か。

 労災が適用になるかならないかは、業務起因性と業務遂行性が認められるか否かである。事件は握手会の現場で起こったということであるが、握手会はAKBにとって中核的な活動なのであろう。とすれば、その業務に危険性が伴うかどうかで業務起因性が判断されることになる。実際、過去にも芸能人が実演現場でファンに襲われたという事例が多くあることから、業務に危険性があることについては異論はないであろう。ということで、今回の事件は業務に伴う危険性が具現化した、ということで業務起因性については問題ないということでよかろう。
 次に業務遂行性の問題である。業務遂行性を判断するもっとも明確な基準は労働契約が介在しているかどうかである。今回のAKBメンバーに労働契約が存在していたのかどうかは明確ではないが、労働契約の有無よりも重視したいのは従属性の有無である。その場合、注目したいのはメンバーが着用していた衣装である。過去の芸能人が襲われた場合、衣装は芸能人自身の個別の衣装であろう。ところが、AKBの場合、全員統一された衣装である。これは、演出者の指示を受け着用を義務付けられものとみなすしかない。もちろん、着用を拒否することなどできないであろう。規定に従っていたということになれば、従属性はあったと判断するしかない。
 もうひとつ、労災判断の上で重視したいのは、犯人の証言である。犯人は、AKBのメンバーについてはよく知らなかった、AKBなら誰でもよかったと証言している。これは、襲ったメンバーに対する怨みではない、ということである。怨みによるものであれば、業務とは関係ないということになるが、そうではないのであるから、業務に起因するとみなさざるを得ない。労災認定上有利な証言ということになる。
 となると問題は、今回の事件で被害を受けたAKBメンバーが、病院での治療に際し、使った保険のことである。健康保険を使ったというのであれば、保険者に対する確認が必要ではないか。健康保険の使用で適切なのか、それとも労災を申請するべきなのか、である。そして、労災と判断された場合、取るべき手続きである。被保険者から相談を受けた保険者は、通知書と納付書を送付してくる。納付書には健康保険から給付された金額が記載されてある。被保険者はその納付書に従って記載された金額を保険者に納める。納付書を受け取った保険者は領収証を送付してくる。被保険者はその領収書とレセプトをもって労働基準監督署へ行って所定の用紙に必要事項を記入して労災申請を行う、ということになる。振込には2~3ヶ月かかるというが、保険給付7か月分、自己負担分3割が戻ってくるということになる。
 
 

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# by nogi203 | 2014-06-02 15:22 | その他