日々の出来事から、思ったこと、感じたことを綴らせてもらいます。
by nogi203
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カテゴリ:労働基準法の穴( 71 )

毒入りギョーザ事件の結末。

 毒入りギョーザ事件の容疑者が中国で逮捕された。容疑者は農村出身の臨時工、いわゆる民工といわれる人物である。犯行の動機はギョーザ製造工場内での正社員との差別待遇にあるという。差別の実態としては、給与格差や有給休暇の有無などであるが、今回の容疑者の場合は、いつまでたっても正社員に登用してくれなかったことが不満であったらしい。
 民工とは、即ち、社会的身分ではないか。その社会的身分によって正社員と給与や待遇などで差別されるというのは、我国でいえば、労働基準法第3条違反である。労働基準法第3条は以下の通りである。
 「使用者は、労働者の国籍、信条、又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間、その他の労働条件について差別的取り扱いをしてはならない」
 今回の事件のように、中国の工場で正社員と農村出身の臨時工との間に、公然と処罰されずに、賃金、待遇に差別的取り扱いがされているというのであれば、中国には我国の労働基準法第3条に相当する法律条文がないことになる。ないのであれば、作ればよい。法律の担保もなく、事業主の裁量で差別的取り扱いが容認されているのであれば、これからも、今回の容疑者のような人物がまだまだ出てくるに違いない。
 しかし、我国の労働基準法第3条に相当するような法律条文を作るといっても、中国の場合、信条という文言が障害にならないか。なぜなら、共産党を支持する、しないというのは、まさに信条に係わる問題である。その信条で差別的取り扱いをしてはならないというのであれば、共産党支持者でない者も差別的取り扱いをしてなならないということになる。それはとりもなおさず、中国共産党の一党独裁体制を揺るがす事態を招くことにならないか。
 つまり、中国政府は我国労働基準法第3条に相当する法律条文を定めなければ、差別的待遇を原因とする労働者の不満を押さえることができず、かといって、定めれば共産党の一党独裁体制が危機に陥るという大きなジレンマに直面しているといえるのではないか。
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by nogi203 | 2010-03-30 14:51 | 労働基準法の穴

外国人力士の在留資格。

 外国人が日本に入国すると、入管法の適用を受ける。入国した外国人が日本で働くと、在留資格による就労制限をうける。在留資格は現在27種類あるが、大相撲の外国人力士は、おそらく興行という分野で在留資格を認められているものと思われる。他に該当する在留資格はない。
 現役時代は当然、その在留資格に基づき相撲協会の力士として就労するわけであるが、現役を退いたあとでも、在留資格に基づいた分野であるならば、日本国内での就労は可能である。事実、外国人指針というものでは、在留資格に応じた再就職が可能となるよう必要な援助に努めるよう事業主に求めている。もっとも、力士の場合、日本に職業としての相撲団体は日本相撲協会しかないのであるから、現役力士としての就労は援助しようがない。援助するならば、他の興行分野での就労援助でしかないことになる。その分野での就労が困難であるならば、在留資格の変更を願い出て、許可を受ければ新しい分野での就労を求めるしかないということになろう。それでも、就労できないとなれば、あとは滞在期間の到来と共に、本国に返るしかない。これは、横綱、大関で引退しても同じ事であろう。
 ただ、永住資格を取るとか、日本人の配偶者等になる、などという事になった場合、在留資格に関係なく日本での就労が可能となる。朝青龍は永住資格を取っていたというし、白鵬は日本人の女性を配偶者としているから、どちらも日本での就労は問題ないことになる。ちなみに、永住資格の要件は 1、素行が善良であること、 2、独立の生計を営むに足る資産又は技能を有することとなっている。
 もっとも、永住資格をとっても年寄名跡を襲名して日本相撲協会に残るには、日本国籍を有することが必要である。日本人の配偶者になっても、国籍が本国のままでは相撲協会には残れない。外国人力士にとっては、大きなハードルと言わねばなるまい。
 労働基準法第3条は、労働者の国籍,信条,又は社会的身分を理由として,賃金、労働時間,その他労働条件について差別的取り扱いをしてはならないと定めているが,日本相撲協会の年寄規定は、この労基法第3条に抵触することはないのか。今まで提訴した力士はいないが,これだけ外国人力士が多くなってくると,、そのうち訴えるものが出てくるかもしれない。そのときこそが、日本相撲協会の正念場となるのではないか。
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by nogi203 | 2010-02-12 16:13 | 労働基準法の穴

相澤社長の会見から。

 酒井法子容疑者の逮捕を受けて、サンミュージックの相澤社長は以下のように述べている。

 「取り調べでの推移を見て,起訴、判決でそういうこと(有罪)になれば、解雇の判断もしなければならない」

 解雇の判断と述べているところを見ると,相澤社長は酒井法子容疑者との契約を労働契約であるという認識をはっきりと持っていると思われる。解雇とは,その労働契約を使用者である相澤社長の方から,一方的に打ち切ることだ。一方的に打ち切られたら,労働者は生活の基盤を失うことになるから、解雇権濫用法理で保護されることになっている。しかし、保護するに値しないという事情が労働者の側にあれば,解雇権の行使は正当なものと認められる。
 今回、酒井法子容疑者の逮捕理由は覚せい剤取締法違反である。この理由だけでも解雇を正当化するのに十分であるが、それに加えて,その後の逃亡が大きくマスコミで報道されるに到っては、企業に与えた影響は計り知れない。従って、保護するに値しないものとして,懲戒解雇もやむを得ないということになる。
 ただ、気になるのは相澤社長の、「芸能界を辞めたとしても,社会人として更正してほしい。少しでも力になりたい。救ってやりたい」という言葉である。この言葉が、まったく純粋に個人的な援助を意味しているものならば問題はないが,少しでも企業として援助をしたいという意味を含んでいるとしたら問題が残る。
 サンミュージックにも就業規則があり、懲戒規定もあるのであろう。その懲戒規定はサンミュージックの全従業員に適用されるのであり、規定に従っているからこそ、サンミュージック内の企業秩序が保たれているのである。酒井法子容疑者も労働契約上の労働者であるからには、この規定に従わなくてはならない。それが、特定の個人として規定が緩められるようなことがあっては、企業全体の秩序を保つことが困難となる。
 相澤社長の,少しでも力になりたい、救ってやりたいという言葉の意味が,懲戒規定を緩和するものならば,その危険性は高いと言わねばなるまい。規定を定めた以上は、定めた社長自身も拘束されるのであることを忘れてはなるまい。
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by nogi203 | 2009-08-10 16:48 | 労働基準法の穴

ILO132号条約の批准。

 権利は持っているが,周りに気を使わなければならず、なかなか行使することができない。これは総理大臣の衆議院解散権のことではない。年次有給休暇における労働者の時季指定権のことである。
 正当な権利であるから、取得率は100%であってもおかしくはない。ところが、実際は平均で50%台でしかない。それも、大企業を含めての平均であるから、中小零細企業だけならもっと低い。
 この取得率を向上させるには、職場の風土を変えるしかない。職場の風土を変えるのは,企業の自主性に任せるべきではあるが、もはやそのようなことでは追いつかない。政府の強力な指導が必要である。しかし、政府の指導も政権次第では困るから,それを担保するための国際的な拘束力がほしい。そこで、ILO132号条約の批准である。
 ILO132号条約は以下のような内容である。
 「労働者は1年勤務につき3労働週(5日制なら15日,6日制なら18日)の年次有給休暇の権利をもつ。休暇は原則として継続したものでなければならないが、事情により分割を認めることができる。ただし,その場合でも分割された一部は連続2労働週を下らないものとされる。」

 日本政府はこのILO132号条約をまだ批准していない。批准していなくても,日本には労働基準法があり、労働基準法では39条に年次有給休暇の規定を設けている、というのがこれまでの日本政府のいいわけである。しかし、労基法39条の内容は、ILO132号条約の水準には達していない。特に,連続した2労働週を下らないものとされる、という部分である。連続した年次有給休暇の取得については,5日を超える部分の計画的付与制度が設けられているが、連続した2労働週を下らないという水準にはほど遠い。
 ILO132号条約を批准してこなかった日本政府とは自民党政府のことである。その自民党政府が政権の座から退き、民主党が政権を掌握するとなると、ILO132号条約を批准するのかどうか、注目されるところである。ことに、民主党を支援する連合が,132号条約の批准を要望していることから、なおさら注目されるところである。
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by nogi203 | 2009-07-15 13:51 | 労働基準法の穴

タレントの不適切発言。

 昨日、松竹芸能の安倍社長がラジオ番組等での不適切発言を原因として,所属タレント北野誠の無期限謹慎処分を発表した。発表記者会見の中で,安倍社長は,弊社は20年にわたり北野の発言を見過ごしてきたとか、番組を降板させる、あるいは,今後は教育をきっちりやっていきたいなどと発言している。これらの発言を見る限り,松竹芸能はタレント北野誠を使用従属下に置いているという意識をはっきりもっているとみなせる。
 使用従属下に置いているのであれば,タレント北野誠との契約には労働者性があるとみなせることになる。労働者性があるとみなせるのであれば、そのタレントを休ませ,仕事を与えないというのであれば、労働基準法26条休業手当の問題が生じることになる。もっとも、休業手当は使用者の責に帰す事由によって,労働者を休業させる場合に支払うべきものであるから,使用者の責に帰す事由ではないことを証明すれば、支払わなくてもよいことになる。
 しかし、その場合,使用者の責に帰す事由ではないことを証明するとは、他ならぬ、不適切発言の内容を公表することであろう。公表して、いかにも不適切であると認められれば,それを原因として謹慎処分にすることもやむをえないと納得してもらえる。それならば、休業手当を支払わなくてもよかろうが、内容の公表はしないというのであれば、やはり、使用者の責に帰す事由とみなされて、休業手当ての支払いが必要になるのではないか。
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by nogi203 | 2009-04-29 11:21 | 労働基準法の穴

今度は若麒麟。

 若麒麟の処分が解雇と決定した。賢明な選択といえるのではないか。当初、除名処分も含めてと言われていたが,それは見送られたということだ。そもそも、除名処分とすることの意味は、ひとえに退職金を不支給としたいという協会の意思にあった。では、その法的根拠はどこにあるのかとなると、以下の一連の規定による。
 まずは、寄付行為施行細則,退職金規定、従業員退職金支給規定
 第8条
 懲戒、又は悪質な事由により退職したものに対しては退職金を減給し、又は支給しないことがある。
 これだけを見れば,若麒麟に退職金を支給しなくてもよいことになる。だが、次のような条項もある。
 第2条
 本規定の従業員とは年寄、力士を除く協会所属員とする。
 つまり、力士である若麒麟には第8条は適用されないのである。すると、退職金は払わなくてはならない。それでも、協会は若麒麟に対して退職金は払いたくないのであるから、さらなる法的根拠が必要となる。その法的根拠とは次の規定である。
 寄付行為施行細則,退職金規定、力士養老金(退職金)および勤続加算金支給規定
 寄付行為施行細則第94条および故意による無気力相撲懲戒罰規定による除名処分を受けた者には退職金を支給しない。
 即ち、力士に退職金を支給しないためには除名処分が必要なのだ。では、除名処分を行なうにはどうすればよいか。寄付行為施行細則第94条である。
 年寄,力士、行司およびその他協会所属員として相撲の本質をわきまえず、協会の信用もしくは名誉を毀損するがごとき行動をなしたる者、あるいは品行不良で協会の秩序を乱し,勤務に不誠実のため、しばしば注意するも改めざる者ある時は,役員,評議員,横綱,大関の現在数の4分の3以上の特別決議により、これを除名することができる。
 特別決議を実施すればよいのである。横綱,大関の現在数とあるから,朝青龍も参加しなければならないのだ。

 以上の規定こそが、力士への退職金を不支給とすることの法的根拠となるのであるが、今般、その決定は見送られた。
 見送った理由は,まだ25歳の若麒麟の将来を考慮したことになっているが、もちろん、表向きの理由であろう。なぜなら、若ノ鵬の問題との兼ね合いがあるからである。若ノ鵬が退職金を支給されたのは処分が除名ではなく解雇だからである。逮捕された理由も、どちらも大麻所持であるから、一方では解雇であり退職金が支給されているのに対して、他方では除名処分で退職金が支給されないでは相当性において問題がある。相当性ということについては、民事上軽くは扱えない。それについて、ある判例がある。
 高知放送事件 昭和52.1.31 最高裁判決
 午前6時,ラジオのニュースを読まなければならないアナウンサーが寝過ごしてしまい,ニュースが放送できなかった。2週間後,同じアナウンサーが又寝過ごしてしまい、ニュースを放送できなかった。そのため、アナウンサーは懲戒解雇された。ところが、アナウンサーを起こす役目の担当者も寝過ごしてしまい,処分を受けたが、譴責処分にとどまった。社会的に相当なものとして是認できないとして、アナウンサーの解雇処分は無効となった事件である。
 この判例を踏まえれば,若麒麟を除名処分にして退職金を不支給とすることは,若ノ鵬の例に比して相当とはいえまい。若麒麟を除名処分とするのは協会の自由であるが,訴えらればおそらく負ける。解雇処分に留めたのは、それを回避したものとして,ある意味賢明であろう。
 いずれにしても、解雇処分でも退職金を不支給とするには、寄付行為施行細則を改正する必要がある。若ノ鵬に退職金を支給しなければならないことになった時、武蔵川理事長も改正しなければならないというようなことを言っていたが,改正する前に今回の事件が発覚してしまい、協会執行部も狼狽したということではないか。
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by nogi203 | 2009-02-02 15:45 | 労働基準法の穴

解雇理由証明書。

 労働者は労務を提供し、賃金を得ることによって生活を維持する。解雇はその生活を維持する手段を奪うものであるから、制限されなければならない。解雇を制限する規定としては、解雇予告や解雇手当の支払義務があるが、それだけでは不十分である。そこで、解雇権濫用法理というものを設定し、使用者に規律の遵守を促すことになる。しかし、解雇権濫用法理は強行規定ではない。だから、常に濫用しているか、していないかで紛争が起こる。
 解雇権が濫用されているか、否かは第三者の判断を仰ぐしかない。判断を依頼された第三者としては、判断の基準となるものが必要である。それが、解雇理由証明書である。では、その解雇理由証明書はどこで、だれからもらえばよいのか。解雇された労働者が解雇予告期間中に、解雇されたに事業所で、解雇した使用者からもらえばよいのである。これは、労働基準法22条2項で認められた労働者の権利である。請求して、使用者が交付しなければ、客観的に合理的な理由を欠くことになり、解雇は無効となる。解雇が無効となると、解雇通告を受けた時点に遡って、給与の支払いを命じられることになる。
 では、交付されればどうなるか。労働者は解雇理由証明書に記載される事項に注文をつけることができる。労働者が請求しない事項を記入しないよう要求できる。第三者は解雇理由証明書に記入されていることだけに基づいて、解雇権濫用の事実があるか否かを判断するのであるから、労働者は絶対有利な立場に立つことが出来る。
 少なくとも、あの会社がリストラを行なっているのであるから、うちもやってしまえなどという理由で解雇権を行使している場合や、内定取り消しを行なうと世間がうるさいから、いったん採用だけはしておいて、1ヶ月か2ヶ月後に解雇してしまうなどというのは、疑いもなく解雇権濫用法理に抵触して解雇が無効になる。といあえずは、まず、解雇理由証明書の交付を請求することだ。
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by nogi203 | 2009-01-05 17:07 | 労働基準法の穴

内定取り消しをさせない。

 採用の内定通知とは、解約権留保付の労働契約が成立したとみなされるものである。では、その留保した解約権を企業が行使できるのは、どのような場合か。大日本印刷事件(昭、54、7,20)等に見られるところでは、採用内定当時,知ることができず、また知ることが期待できないような事実が判明した場合などとなっている。具体的には、単位不足で卒業できなかった場合とか,健康診断で異常が見つかった場合などがあげられる。しかし、それらの例で見る限り、それらは学生側に理由があったという場合である。それに対し,景気が悪化し、雇用情勢が厳しくなり、採用できなくなりましたというのは、企業側に理由がある場合である。
 解約権留保付とはいえ、労働契約が成立しているのであれば、企業側から一方的に労働契約を打ちきるというのは、紛れもなく解雇である。解雇であれば,労働者は解雇権濫用法理を用いて解雇無効を訴えることができる。
 解雇権濫用法理とは、「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして,無効とする」 というものである。就職戦線において、早々と内定通知を出し,学生の選択権を放棄させおきながら、景気が悪くなりましたから採用できませんでは、社会通念として相当するとはいえまい。だから、学生が訴えれば勝算は十分にあるといわざるを得ない。企業も自責の念があり、だからこそ、内定取り消しに際し,補償金なるものを出しているようではある。しかし、その額は数十万円程度のものであり、補償金の名に値するものではない。それで、敗訴を免れようとしているのであれば、図々しいというしかない。補償金というのであれば、さらに高額が必要であろう。
 高額な補償金は本来ならば、企業が自主的に行うべきものであるが、そのようなことは期待できない。また、法律で強制するのも適切ではあるまい。とすれば、高額な補償金を求める訴訟を起こし,裁判官の判断を仰ぐという方法がある。裁判官がその高額な請求を認めれば、相場というものが出来上がる。数十万で済んでいたものが,数百万になれば、企業も安易な内定取り消しはできなくなる。もっとも、そういう方法を実行に移すにはまず、内定を取り消された学生の中から,高額な請求を行なう学生が現れなくてはならない,そして同時に、その請求を認める裁判官が現れなくてはならない。二つの要件が揃って可能となるものだ。
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by nogi203 | 2008-12-03 14:37 | 労働基準法の穴

リーマン・ブラザースの買収。

 今回の世界金融危機が拡大する発端となったのは、リーマン・ブラザースの経営破綻である。そのリーマン・ブラザースを野村ホールディングスが買収した。買収した理由は、リーマンのもつ高度な投資テクニックや豊富な人材を取りこむことにある。日本の金融機関は安定した右肩上がりの経済成長に安住し、投資テクニックに磨きをかけることが疎かであったが、この買収によってその遅れを取り戻すことが期待される。しかし、今回たまたまリーマン・ブラザースの経営破綻から、そのように高度な投資テクニックや人材を得る機会が得られたが,では、その前はどうしていたのか。
 野村ホールディングスに限らず,日本の金融機関がとった方法の一つに従業員を留学させるという方法があった。当然,留学は業務命令によって行ないたい。しかし,一方的な業務命令ではあとで問題が残る。留学期間が終了したあと、すぐ、退職されてしまった場合である。当然、留学に要した費用は返してもらいたいが、一方的な業務命令によって留学させたのであれば、それは難しくなる。そこで、社内で留学志望者を募り、応募してきたものの中から適任者を審査して決めるという方法にした。それなら、留学後,すぐに退職されても、留学費用の返還を請求できる、というつもりであったが、それでも、全額返還せよとはいえず、一定範囲の額に留まらざるをえなかった。一定範囲とは,業務とは直接的な関連性がないものであり、授業料や出願料など、そして、勤続年数が概ね5年以内に退職した場合などに限られる。
 しかしそれでも、従業員が素直に返還に応じてくれたわけではない。労働基準法16条、損害賠償予定の禁止に抵触するとして提訴してくるのである。現に、新日本証券(H、10、9,25)、野村證券(H、14、4、1)、明治生命(H、16,1,26)などが、留学費用返還請求をめぐって訴えられている。日本の金融機関はこの問題について頭を悩ましてきたというところであるが、今回、野村ホールディングスによるリーマン・ブラザースの買収は当面のそうした悩ましい問題の解消にはなったということか。
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by nogi203 | 2008-11-28 14:47 | 労働基準法の穴

割増率が上がる。

 改正労働基準法が今の国会で成立するかもしれない。改正の主要部分は、時間外労働の割増率である。割増率は現行25%(休日労働35%)であるが、それを50%にしようとするものだ。ただ、時間外労働が月60時間を超えた場合である。政府原案では、この60時間超という部分が80時間超であったが、60時間超に引き下げたことによって民主党の了承が得られ、、改正案が国会を通る見とおしとなったという。
 月80時間超でもコストが増えるとして企業側は反対していたが、60時間超なら、なおさらコストは増えることになる。企業は、当然、割増賃金の増加は押さえたい。サービス残業などさせてはならないから、改正法では、企業の為の救済制度を用意する。時間外労働が月60時間を超えても、50%の割増賃金を払わなくてもよいという制度である。即ち、月60時間を超えた分について、割増賃金を払わない代わりに有給による休暇を与える、但し、その有休の賃金算定は通常の労働時間の賃金で算定する、という制度である。休暇は取得してもらわなくてはならないが、取得すると、月の時間外労働が60時間を越えても、超えた分に相当する休暇分の賃金は通常の労働時間の賃金を払えばよいのであるから、割増賃金の増加によるコスト増は防げる、というものである。代休を振替休日にすることによって割増賃金の支払いを免れるというのと似たような発想である。ただ、これには労使協定がいる。となると、事は簡単には行かない。
 割増賃金の増加を押さえたいというのは、企業側の事情である。一方、労働者側には割増賃金をより多くもらいたいという事情がある。労使協定というからには、この違いを調整しなければならない。さらに、月80時間超が月60時間超に引き下げられたことは、問題を複雑にする。なぜなら、月80時間超の時間外労働はきついが、月60時間超の時間外労働なら、少し頑張ればという労働組合もしくは労働者の過半数を代表するものが出てこないとも限らない。そうなると、協定は難しくなる。改正の目的の一つに、労働者の健康確保というものがあり、そのようなことは好ましくないが、生活が厳しくなれば、労働者はそんなことは言ってられない。となると、過重労働による健康障害の恐れも高まってくる。そうなると、割増率増加の基準を80時間超から60時間超に引き下げたことがよかったのかどうか、ということにもなってくる。事は、簡単ではないのである。
 なお、この割増率アップの基準は中小企業主には適用されないことになっている。しかし、適用されないからといって、中小企業の労働者が適用を求めてこないとも限らない。その対応は中小企業事業主の課題であろう。
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by nogi203 | 2008-11-14 14:24 | 労働基準法の穴