日々の出来事から、思ったこと、感じたことを綴らせてもらいます。
by nogi203
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特別条項付き36協定。

 労働による疲労の蓄積は労働者の健康障害を招く。では、どれぐらいの疲労が蓄積されると、労働者の健康障害を招くのか。その基準を定めておくことは,労災認定において重要となる。
 平成13年12月12日、厚生労働省から医学的研究等に基づく「脳血管疾患及び虚血性心疾患等についての基準」というものが発表され、長期間にわたる疲労の蓄積についての新たな基準が示された。それによると、従来は発生1週間前の疲労蓄積が基準とされていたものが、発生1ヶ月間ないしは6ヶ月間の疲労蓄積も判断の基準とされるようになった。即ち,1ヶ月当たり時間外労働が45時間を越えない場合、業務との関連性は弱いが、45時間を越えると関連性が徐々に強まるとされ、さらに、発生前1ヶ月間に100時間を越える時間外労働がある場合や、発生前2~6ヶ月間にわたって月平均80時間を越える時間外労働がある場合などは関連性が強いとされたのである。
 果して、この医学的研究等による判断基準は正しいのか。
 今月7日、ある労災認定事件が報道された。認定されたのはマクドナルドの元店長である。元店長は脳梗塞で倒れ,現在も左腕などに後遺症が残っているといわれるが,原因は長時間の残業などの過重労働であったとされている。元店長の発生前3ヶ月の残業時間は勤務記録からは月60時間程度であってが,実際は80時間以上の残業が続いていたといわれるから、まさに、厚生労働省が発表した労災認定基準に該当する疲労蓄積があったことになり、医学的研究等の正しさが証明されたことになる。
 では、このように健康障害が発生することが予想されるにもかかわらず、労働者を労働させた事業主の責任が問われることはないのか。
 今回の場合,名ばかりとはいえ管理職として扱い,労基法32条の法定労働時間の規制を免れようとしたのであろうが,他に責任を免れる方法としては、一般的には労基法36条に基づく36協定の締結という方法がある。しかし、その36協定による場合でも上限は1ヶ月45時間であり,今回の場合はそれを上回っている。ならば、免責されないと考えるべきであろうが,36協定には、まだ、特別条項というものがある。特別条項とは、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行なわねばならない特別の事情が予想される場合に、協定を結んでおけば,限度時間をこえて労働時間を延長させても責任は免れるというものである。だから,今回のような場合でもこの協定があれば、事業主は責任を免れることになる。
 そして、その限度時間を超えて延長できる労働時間というのは1ヶ月30時間とされているのであり、1ヶ月の上限45時間に加えて30時間というのであれば、合計75時間まで時間外労働させられることになる。しかも、これには労使協議も要らない。1ヶ月の時間外労働が45時間を越えると、健康障害における業務との関連性が徐々に強まるということが医学的に証明されているにもかかわらずである。
 これが製造業になると,、通常の生産量を大幅に上回る受注が集中し、特に、納期が切迫している時は50時間延長できることになっている。もっとも、これには労使の協議が必要である。時間外労働の上限45時間にこの50時間を加えると合計95時間である。発生前1ヶ月に100時間を超える時間外労働があると、健康障害との関連性が強いとされているのであるから、まさに、健康障害発生のぎりぎりまで働かせることになる。これでは、健康障害における労災認定は増えることはあっても、減ることはあるまい。
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by nogi203 | 2008-03-13 15:37 | 労働基準法の穴
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