ゆとり教育が見直されると言う。見直し案の中には小中学校での主要教科の授業時間を1割以上増やすというものがある。授業時間は労働基準法では修学時間と記述されている。それはとりもなおさず、ゆとり教育の見直しは、労働基準法とは無関係ではない、と言うことを意味する。
労働基準法56条では、満15歳に満たない児童は労働者として使用してはならないことになっている。しかし、一定の要件を満たせば、満15歳に満たない者も使用することができる。一定の要件とは、学校長の証明をもらい、親権者または後見人の同意を得、行政官庁の許可をもらうことである。すると、健康及び福祉に有害ではなく、かつその労働が軽易なものについては12歳以上の者でも使用できるし、映画の製作又は演劇の事業なら12歳未満の者でも使用することが出きる。但し、それは修学時間以外に、である。
もっとも、修学時間以外と言っても、修学時間外に法定労時間である40時間を使用できると言うのではない。使用できるのは、修学時間を含めて週40時間までである。つまり、修学時間が週30時間ならば、使用できるのは残りの10時間までということになる。そして今回、ゆとり教育が見直されるのである。見直されるのは授業時間、つまり修学時間であるから、少なからぬ影響を受ける事業のあることが予想される。
ことに、映画の製作、または演劇の事業である。これらの製作、事業には子役が欠かせない。子役としての年齢といえば、まさに今回の見直しの対象となる小中学校の児童生徒が相当する。今までは、修学時間を30時間とみなして、残りの10時間を製作に充当できたものが、修学時間が増えることによって、製作に充当できる時間が7時間もしくはそれ以下に制限されることになる。これでは、子役の出演場面が多い映画やテレビドラマなどは作りにくくなる。ことに連続ドラマなどではなおさらではなかろうか。例えば、金八先生などは。