日々の出来事から、思ったこと、感じたことを綴らせてもらいます。
by nogi203
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労働契約法制の成立へ。

 安倍首相は辞職を表明したが、安倍首相が辞めようが辞めまいが労働契約法制の成立には何の関係もない。どの政党の誰が首相になろうが、必要な法律であるからだ。

 労働契約における労使は対等である。しかし、現実には交渉力や情報力に格差がある。その格差を埋めるものが労働者の団結力である。しかしそれは、終身雇用制が揺るぎなく存在し,採用制度も新卒採用が大半であり,賃金も年功制が確固としていた頃までのことである。今日のように終身雇用制が崩れ,採用制度においても新卒、中途採用が混合し、就業形態もパート、派遣、アルバイト、契約社員、在宅勤務などと多様化,個別化し,賃金までも成果主義になると、もはや画一的、集団的に労働条件の改善を要求する労働組合の活動では期待がもてない。それに労働組合そのものの組織率も低下している。
 となれば、そのように形態が多様化、個別化した労働契約に対応した労働者保護のための新しい法律が必要となってくる。それは、もちろん労使対等を原則とし、市民社会の大原則である契約自由の原則を尊重し,なおかつ、労使が自主的に決めたものでなくてはならない。自主的に決めたものであるから法令違反で罰することはできず、だからこそ未然に紛争を防止できるよう予測可能性を高めた内容であることを求められる。
 というようなことを前提とする法律であるから,その内容はどうしても労働者側に傾いた内容とならざるをえない。実際、内容を見てみると,、労働者側有利であることは明らかである。それを列挙してみると、
 ①就業規則の変更は従来では使用者に権利があり,義務としては労働者の過半数代表者の意見を聴く事、行政官庁への届け出であったが、新しい契約法では過半数代表者の意見を聴く という部分を労使委員会の意見を聴くことによって、合理性を推定できるものとして労使委員会の常設化を促進させようとしている。
 ②採用内定の取り消しについては、留保付解雇権の行使は合理的内容のあるものに限られ,あらかじめ知ることができた事由による内定取り消しは無効になることになっている。
 ③変更解約告知に代わるものとして雇用継続型契約変更制度などという制度を設け、使用者の解雇権濫用を封じている。
 ④使用者の勧奨による退職の意思表明は、一定期間内なら撤回できると言うクーリングオフのような制度も提唱している。
 ⑤解雇に於ける金銭的解決制度では、使用者から申し出た場合、労働者から申し出た場合より多額の金額を支払わなくてはならないという規定もある。
 ⑥有期労働契約を労働者から解除した場合,損害賠償を行なうか行なわないかは、やむをえない理由を立証できるか否かによるが、その立証責任を使用者に転換するという規定もある。
 ⑦出向については、従来は包括同意で足りるとされていたが、契約法では就業規則や労働協約等による包括的同意では十分ではないとされている。
 ⑧転籍についても個別同意は書面によらねばならず、書面による明示がなければ転籍そのものが無効であるとしている。
 ⑨配置転換については、特に転居を伴うものについては就業規則の必要記載事項として将来の紛争防止に配慮している。
 ⑩労働条件の明示については、労働契約締結の際の労働条件が実際と違っていた場合,従来は労働者は即座に労働契約を解除できるだけであったが、契約法では労働契約締結時の労働条件を主張できるようになっている。
 ⑪懲戒処分については労働者に大きな不利益を与えるものは書面によらなければならず、書面がなければ無効であるとしている。

 契約法にみえる労働者有利の規定は主に以上のようなものであるが,審議会において、経営者側の委員がこうした内容をそのまま受け入れるとは考えにくい。当然、抵抗するであろうが、時代の流れから見て,どこまでも抵抗できるものでないことは明らかである。となれば、どこがで妥協せざるをえないが,妥協するとすれば,何らかの譲歩を引きずり出したい。譲歩とは見返りである。経営者側は何を見返りに求めてくるか。予想されるものは、労働時間制度に係わるものである。例えば,裁量労働時間制の一層の緩和とか、あるいは、一度は消えたはずのホワイトカラー・エクゼンプションの導入などではないか。
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by nogi203 | 2007-09-13 14:46 | 労働基準法の穴
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