JR福知山線の列車脱線事故で死亡した男性と13年前から同居していた女性が自殺した。遺族としての扱いを受けられなかったことも原因の一つとされているが,この女性は労災での遺族給付が決っていたというから、国としては遺族として扱っていたと言うことになる。JR西日本も労災での年金支給が決るまで,担当社員をつけて生活費を払っていたと言うから,遺族としての扱いはあったと思われる。労災での年金支給が決った後,生活費の支払いは止めたというが,それは当然のことである。労災での年金支給があり,それに生活費を払っていたのでは二重の補償になり、他の被災者に対して不公平というものである。亡くなった女性は更なる苦しみという言葉を残しているが、それが生活費の打ちきりを指しているのであれば,この女性は労災給付というものの理解が不足していたと言わざるをえない。そして、生活費というのであれば、厚生年金からも遺族厚生年金の支給があるはずであるから、なおさらである。
では、遺族として扱わなかったのは誰なのか。
女性は遺族らでつくる「4・25ネットワーク」の月1度の例会で遺族として扱ってもらえないと漏らしていたというから、このネットワークが女性を遺族として扱わなかったものと思わざるを得ない。ネットワークが女性を遺族として扱わなかったのは入籍していなかったことが理由らしいが、入籍していなくても、事実婚として労災、厚生年金で遺族年金の受給権者となれることから考えても,遺族として扱わないのは不当といわざるを得ない。ちなみに,事実婚として認められる要件は、婚姻届を出しさえすれば受理してもらえる戸籍上の身分を持っていること,即ち,離婚の意思はあるが、まだ届を出していない別居中の夫あるいは妻がいないという状態であるということ、さらに、両性に婚姻の合意があることである。婚姻の合意は住民票が同じなら認められるから,13年も同居していたのであれば、疑いを挟む余地はない。
以上の経緯から見ると,JR西日本の対応のまずさを非難するような報道は見当はずれのような気がしないでもない。