確定給付型の企業年金は給付額を減額することができる。但し,加入員の同意がいる。加入員の3分の2というから、かなり厳しい。そして、同意は加入員のみに求めているのであるから、既に、受給しているものに対する減額はできない。
こうした条件で同意を得なければならないのであるから、事業主としてもそれ相応の代償を用意しなければならない。そこで、給付額減額に伴う最低責任準備金の低下を利用する。給付額を減額するのであるから,最低責任準備金も当然低下する。低下するということは、従前の最低責任準備金との間に差額が出るということであるから、その差額分を確定拠出年金の掛け金に充当するという提案をおこなう。もちろん、法律もそれを認めている。
この方法によれば,確かに、確定給付型での給付額は減額されるが,それによって生じた差額金を別途、確定拠出型年金で運用できることになるのであるから、労働者の同意は得やすくはなる。ただ、資産運用は自分で責任をもって行なわなくてはならなくなるという点だけが、従来とは違ってくると言うだけである。
これは、確定給付型年金の給付額を減額したいと考える事業主のために用意された方法と見ることも可能であるが,但し、それは確定拠出年金へ移行する場合に限ると言う意味で,確定拠出年金への移行を促進するための方策とみるのが妥当ではないか。