職能資格制度というものは、職業能力は年功を積むことによって向上するものであるという前提によって成り立つ評価制度である。年功賃金はその意味で合理的な賃金制度であると言えた。
それならば、一定年齢に達した後、賃金は頭打ちとなり,以後、低下することもあるというのは職能資格制度にはそぐわない制度と言わざるをえない。そぐわないというのであれば、どのような評価基準に基づいた賃金制度に変更されたのか事業主は説明しなければならない。仮にそれが、職務給といわれるものであり,職能とは関係ない制度であったとしても、やはり説明は必要であろう。説明もなく、事業主に言われるままに職務給制度を受け入れているとすれば,この制度の犠牲者たる中高年労働者はまさに羊のような存在といわざるをえない。