学生無年金障害訴訟については、高裁段階で判断が分かれている情況であるが、政府は訴訟とは別に、福祉的措置として特別障害給付金制度を創設した。その額は障害等級1級該当者で月額5万円、2級該当者で月額4万円である。その財源は、定率減税廃止によって捻出したものである。
支給対象者としては、平成3年3月以前、国民年金の任意加入期間中に任意加入していなくて、障害を負った学生はもちろんであるが、それに加えて、昭和61年3月以前、国民年金の任意加入期間中に任意加入していなくて、障害等級に該当する障害を負った被用者の配偶者も対象となっている。学生無年金障害訴訟の原告となっている者達よりも範囲は広いのである。
支給要件としては、任意加入期間中に初診日があること、65歳に達する日の前日までに障害等級に該当する状態にあることとされているが、これについては平成17年4月1日に65歳を超えている人は、平成22年3月1日まで申請できることになっている。そして、社会保険庁長官の認定を受けていることである。
実際の請求には特別障害給付金請求書を始めとして、10種類程の書類を提示または提出しなければならないが、これには手間がかかる。給付金の支給は請求月の翌月分からであるので早く請求すればするほど、より多くの給付金を受け取れるのであるが、書類が用意できなくて遅れることもある。そのような場合、請求だけを先に行なっておき、後日、書類が揃ってから提出すれば、請求月の翌月から受け取れることになっているので、まずは請求しておくべきであろう。
しかし、この制度で腑に落ちないのは、給付金の支給が請求に基づいていることである。請求というのは、何らかの法的な根拠があってこそ行なえるものであろう。年金の場合で言えば、保険料を納めたという事実が請求の根拠となるものである。ところが、この給付金に関しては、そもそも保険料を納めていなかった人達が対象である。それならば、請求はやはりおかしい。申請もしくは懇願としてもおかしくはなく、特別障害給付金請求書も特別障害給付金申請書とすべきであろう。