前回に続き、消費税引き上げに伴う支援対策である。
前回は、主に高齢の低年金受給者を対象にした支援対策であった。しかし低年金と言えども、年金を受給していることに間違いはなかろう。しかし、高齢者の中には、その年金も受給していない人たちがいる。受給していない理由は、年金保険料を納めていなかった、もしくは納めていても受給資格期間を満たしていなかった、というケースが想定できる。問題は、それらの人たちへの支援対策はないのかということである。
全く納めていなかったという人は論外であるが、国民皆年金のもと、それは想定しにくい。となれば、日本国内に住所を定めていれば、国籍に関係なく、誰でも多少は国民年金に加入して保険料を納めていた期間はあるものと想定できる。支援策はそれらの人たちの内、資格期間が10年以上の人たちを対象とするものである。これによって、受給資格期間はそれまでの原則25年が10年に短縮されることになる。つまり、それまで受給をあきらめていた資格期間10年の人も老齢基礎年金を受給できるようになるのである。しかし、そこで国として悩ましいのは、老齢基礎年金の負担の2分の1は税金であるということである。となると、財源という問題がついてくることになる。
この規定を定めた年金機能強化法では受給資格期間の短縮は平成27年10月に施行予定となっている。言うまでもなく、平成27年10月とは消費税10%への引き上げが予定されている月である。ということは、この受給資格期間短縮に伴う税負担の増加は消費税引き上げ分を予定しているとみなすしかない。となると、消費税増額が見送られたとすれば、この受給資格期間の短縮も見送られるのかという疑念が生じる。
機能強化法では高所得者(年収850万円以上)の基礎年金額の一部が支給停止されることになっていて、その分が充当できるとしても、とても足りるものではあるまい。となると、別の予算を削るか、国債をさらに発行するということになる。そんなことになれば、また大騒動である。やはり、消費税引き上げは避けることはできないものと考える。