労働基準法をはじめとする労働法規は労働者保護を趣旨とするものである。だから、労働者がこうした法律を楯にして使用者を提訴すれば、使用者はほとんど太刀打ちできない。それを互角に立ち合わせるために、使用者に与えられた武器が就業規則である。
就業規則は使用者が自らの意思で一方的に定められるものである。もちろん、強行法規に反することは定めることはできないが、労働者の同意を得ることなく、ただ、労働者の意見を聞くという事実のみが要求されるだけである。
しかし、労働事情は常に変動する。変動にともなって、就業規則の見直し変更も不断に行なっていかなくてはならない。でないと、労働者の提訴に対する武器としての就業規則も錆付いて武器としての用をなさなくなる。
就業規則を管理するものは、企業の人事、労務担当者である。それらの人々は、常に、最新の労働法規や労働事情に精通し、就業規則が労働者の提訴に対し、効力無効や損害賠償責任の追及などという事態にみまわれないように注視していなくてはならない。それこそが、企業人事労務担当者の最大の責任というべきであろう。