日々の出来事から、思ったこと、感じたことを綴らせてもらいます。
by nogi203
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貿易の恨みは怖い。

 国際紛争を有利に運ぶには、国際世論を味方につけることが必要である。戦前、日本は多くの国際紛争を抱え込んでいたが、国際世論が味方していたとは言えない状況であった。理由は軍部主導の国策にあったことは言うまでもないが、理由はそれだけではないのではないか。
 戦前、日本の最大の輸出商品は生糸であった。もちろん、生糸にも国際競争があり、競争に勝ち抜くためにはそのための対策が必要であった。日本の場合、その対策の主たるものは労務コストの削減、即ち、労働者の賃金を不当に低く抑えたままにしておくことであった。例えば、唯一とも言ってもよい輸出産業である生糸産業では、女工登録制度などというものをつくり、一度工場に登録されると、他の工場では働けなくなるという制度を作る。これによって低賃金労働者である女工たちが高賃金を目当てに他の生糸工場に移動することを禁じた。そうした低賃金による生糸生産を維持して、国際競争力を維持しようとしたのであるが、もちろん今日ではそのようなことはできない。職業選択の自由が保障されていなかった明治憲法下であったこその制度ではあるが、その結果、犠牲になった女性労働者が多くいたことは女工哀史などに詳しい。。
 明治憲法に職業選択の自由が保障されていなかったことの影響はその後も続き、昭和14年には戦争遂行のためには賃金上昇はマイナスであるとして賃金統制令が制定され、翌15年には高い賃金を求めて労働者が企業間を移動することを禁じる従業員移動禁令の発動へと続いていく。
 これらのことは国際間にも知れ渡り、日本の産業の国際競争力は労働者が強いられている困苦と貧困によって支えられているとまで言われる始末である。それはまさしく、ソーシャル・ダンピングとして国際的非難をあびたものであり、その結果が巡り巡って、国際紛争における国際世論の反発を招いたいうことになると、貿易の恨みは怖いというしかない。
 今、尖閣諸島の帰属をめぐり、日本と中国の間に紛争が生じている。国際紛争になれば、国際世論の動向が重要であるというのは今も昔も変わらない。そのため両国は宣伝合戦を展開しているが、主張しているのは主に、歴史的経緯である。しかし、国際世論を味方につけるかどうかは、貿易問題、特にその不公平さであるというのは、かっての日本の例を見ても明らかである。というのであれば、現代、貿易問題で不公平さを指摘されているのは中国の外国為替問題である。特に、アメリカは元が不当に低く管理されているとして、元の切り上げを事あるごとに要求している。まさしく、貿易上の不公平さを意識しているからこそであろう。
 そうして現状を見る限り、国際世論を味方につけるという点においては、日本側に有利な状況ではあるということはできようが、ただ、為替管理の問題は中国にその意思さえあれば、いつでも中国自身が自主的に取りやめることができるものであろう。となれば、日本有利の状況は決して安閑としていられるものではない。
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by nogi203 | 2012-10-02 20:20 | その他
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