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昭和50年という年。
昭和50年は日本の労働判例史上重要な年である。2月25日には、陸上自衛隊八戸整備工場事件判決が出る。(最高裁) この判決によって、労働契約には安全配慮義務が付随することが明らかになった。4月25日には、日本食塩工場事件判決(最高裁)が出る。この判決では、解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる、という解雇権濫用法理が示された。そして、12月24日、長崎地裁大村支部において大村野上事件判決が出る。いわゆる、整理解雇の四要が初めて示されたのである。即ち、1、経営上の必要性、2、整理解雇を避ける努力 3、被解雇者の選定の妥当性 4、労働組合との協議 である。
以上、3つの判例のうち、陸上自衛隊八戸整備工場事件判決と日本食塩工場事件判決はその後、法律として労働契約法第5条と第16条となった。大村野上事件判決はならなかった。理由は、四要件が厳格に適用されるべきものなのか、それとも解雇の有効性を判断するための要素にすぎないものなのか、いずれかについて意見が確定していないためである。 しかしここにきて、大阪府の橋下知事が代表する大阪維新の会が公務員基本条例案と教育基本条例案に整理解雇の規定を盛り込む方向で検討に入ったという報道が流れた。条例とはいえ、議会を通すことに変わりはないのであるから、問題は同じく、議会を通すことになる法律化の方向に進んでいくのかどうかということである。そして、法律化が進んだ場合、その影響はどうなるかということである。 法律化は経営者にとっては大歓迎であろう。判例は、裁判官の性格や社会状況の変化によってぶれることがあるが、法律化されればそのような懸念は減少し、判決に対する予見性が高まる。法律に則って、粛々と手続きを進めていけばよいということになる。それに対して、労働者は大反発であろう。なにしろ、自分たちには何の非もないのに、経営者側の一方的都合で解雇されることになるのであるから、強く抵抗するのは当然のことである。 しかし、労働者にも弱味がある。経営者が雇用を増やさないのはいったん雇用すると、簡単には解雇できないからである、雇用を増やしたいのであれば、解雇をし易いようにルールを変えてくれ、そうすれば、就活で苦労する若者の雇用も増やすことができる、というようなことを若者相手に主張された場合のことである。都合の良い主張であるが、なかなか就職できない若者の支持を集めないとも限らない。となると、法律化への道も開けてくることになりかねない。いずれにしても、昭和50年に出た重要な労働判例のうち2つはすでに法律になっているのであるから、あとの1つがどうなるかは興味深いところである。
by nogi203
| 2011-08-11 14:27
| その他
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