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日々の出来事から、思ったこと、感じたことを綴らせてもらいます。
by nogi203
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通算規定のない社会保障協定。

 企業が活動を海外に広げる、海外支店に従業員が在籍のまま出向することになる。在籍のままであるから、本国の公的年金は加入したままとなる。しかし、出向先の国にも公的年金はあり、滞在する限り加入しなければならない。すると、従業員は本国での公的年金に加入しながら、出向先の国でも公的年金に加入することになる。ここに、保険料の二重払い問題が発生することになる。この問題を解決するには、当事国同士が協定を結び、本国で公的年金に加入しているならば、出向先の国では公的年金の適用が除外されるということにしなければならない。いわゆる、社会保障協定である。
 通常、この協定を結ぶと、原則5年間は互いの国での公的年金は適用が除外されることになる。しかし、問題は5年を超えて滞在することになった場合である。その場合、本国での公的年金には加入せず、出向国でのみ加入することになる。となると、そこに公的年金の受給資格という問題が浮上することになる。例えば、日本の場合、受給資格期間は25年であるが、日本での加入期間が10年、海外での加入期間が15年ならば、通算は25年になるが、日本での公的年金の受給資格を得ることができるのかどうかである。
 この問題を解決するには、本国及び出向国での公的年金加入期間を通算し、受給資格期間を満たせば、それぞれの国で納めた保険料に応じて公的年金を受給するということにしなければならない。いわゆる通算規定である。この規定があればこそ、企業は安心して従業員を海外に出向させることができる。ところが、社会保障協定を結んでいても、この通算規定がない国がある。イギリスと韓国である。
 イギリスの場合、、企業年金が発達していて、企業年金に加入していれば、公的年金には加入しなくてもよいということになっている。通算するのは公的年金加入期間であるから、公的年金に加入しなくてもよいことになっているのでは、通算する期間そのものがないこともあるということになる。これでは通算規定を定める意味がない。
 韓国の場合は違う。韓国が通算規定を拒否している理由は以下の通り。

 「韓国の年金制度は施行から歴史が浅く、まだ平均加入期間が12年で短いことから、年金加入期間の通算を行ったとしても、当分の間は日本の年金制度の最低加入期間(25年)の受給要件を満たすことが困難であるから、協定に年金加入期間の通算措置を設けない」

 ということであるが、通算規定がないと、5年を超えて韓国に滞在した場合、韓国の年金制度に加入して保険料を納めなければならないことになる。但し、不測の事情で派遣が延長された場合には、5年を超えて3年を限度として韓国の年金加入を免除されることになっている。3年を限度とは日本政府の必死の交渉結果であろうか。
 その結果どういうことになるか。例えば、日本での公的年金加入期間が10年あるものが、韓国に出向を命じられ、定年で退職するまで滞在した場合、日本での公的年金の受給資格は得られず、韓国の公的年金の受給資格しか得られないことになる。日本での公的年金加入期間は無駄になり、保険料は掛け捨てになる。さらには、韓国の公的年金の支給水準は日本には到底及ばないから、退職後日本に帰ってきても低年金の受給者として老後を送らなければならないことになる。社会保障協定に通算規定がないということは、こういうことになるということである。
 本年7月、中国において社会保険法が施行されることになり、外国人にも適用されることになった。ここに、中国に進出している日系企業の駐在員等に社会保険料の二重支払い問題が発生することになった。中国との間にはまだ、社会保障協定が結ばれていないから、当然そういうことになる。経団連をはじめとする日本の経済団体は日本政府に対して社会保障協定締結に関する要望書を提出しているが、、しかし仮に、社会保障協定が締結されたとしても、通算規定が含まれていなければ意味はない。そしてその可能性はないとはいえない。なぜなら、韓国との社会保障協定締結に際し、通算規定を拒否された例があるからである。韓国は拒否した理由を「施行から歴史が浅く、まだ、平均加入期間が12年と短いから-----」と述べているが、それは中国にも当てはまることである。とすれば、中国は韓国との社会保障協定を例にとって、通算規定を拒否することが考えられる。結局、日系企業の駐在員は原則5年のみの適用除外を受けるだけで、5年超の期間は中国政府に対し保険料を納めなければならないことになるのではないか。
by nogi203 | 2011-07-19 15:41 | 年金話あれこれ
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