日々の出来事から、思ったこと、感じたことを綴らせてもらいます。
by nogi203
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作業員死亡。

 東京電力福島原子力発電所内で作業中の作業員が死亡した。作業中に死亡したのであるから、業務災害を疑ってみなければならない。作業場所が原子力発電所内であるからなおさらである。
 作業内容は高濃度汚染水が移送されている集中廃棄物処理施設内で、機材を搬送するものであったという。作業員に持病はなかったということであるから、死因は業務にあったと考えても差し支えあるまい。しかし、作業員は作業中防護服を着用し、被曝線量は基準値以下であり、病院でも放射線被曝の影響は考えにくいと述べている。となると、死因が業務にあるとするならば、作業が長時間に及んだことにあったと推定しなければならない。ところが、原発内での作業は作業時間が厳格に管理されており、当該作業員の作業時間も1日3時間以内に限定されていたという。一般に長時間労働による過労死と認められるには、1か月の平均残業時間が45時間以上であることが要求される。1日3時間の作業時間では到底その基準は満たせない。となると、放射線被曝が原因でもなく、長時間労働が原因でもないということになり、労災保険上、業務災害の認定は受けられないことになる。
 では、労災認定は絶望的かとなると、必ずしもそうとは言えない。問題は労働の質である。原発内での作業は過酷であり、防護服を着ての作業は蒸し暑く、飲み食いはできず、トイレにも行けない。作業後は全身汗だくになるという。作業中には線量計の警報音はなり、作業員は常に被曝の恐怖にさらされている。ストレスはたまり、寝つきは悪くなり、体調不良は明らかである。ここに、一般の長時間労働による過労死の基準を適用するのは適切とは言えないのではないか。労働の質というものが考慮されていない。
 労働の質が問われて、業務災害が認定された事例に、死亡直前11か月間に海外出張10回183日を命じられた社員が、出張先でくも膜下出血で死亡したセイコーエプソン事件がある。(2008、5,22。東京高裁)この事件の場合、社員の1か月の平均残業時間は30時間未満であり、45時間以上の基準は満たしていなかったが、労働の質が問われて過労死として業務災害の認定を受けた。今回の場合、労働の質という点に関しては、それ以上に過酷であるといわねばならない。従って、労災認定は絶望的であるとは言えないのではないか。
 問題は行政の姿勢である。労災申請を受けて、まず審査するのは労災保険審査官であるが、審査官の審査基準は労働局の専門部会が示した医学的見解に基づいている。長時間労働による過労死の場合、この医学的見解において重視されるのは同じ職場で同じ仕事をしている同僚が長時間労働が原因で死亡したことがないのであれば、業務に起因して死亡したとは認められないという点である。となれば、今回の原発内での死亡は初めてのことであり、前例がないのであるから、業務を原因とする災害とは認められないということになる。
 もちろん、それで遺族が納得するものではないであろう。再審査請求から、場合によっては裁判にまで発展することも想定しておかねばならないであろう。
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by nogi203 | 2011-05-16 15:29 | その他
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