改正雇用保険法が成立する見込みとなった。注目は、現行加入要件の見直しである。即ち,1年以上雇用見込みが6ヶ月以上雇用見込みに緩和されることだ。しかし、他にも,気になる見直しがある。育児休業給付の見直しである。給付率が育児休業開始時の賃金の40%から50%へという暫定措置はそのままであるが、従来,育児休業終了後,職場復帰し,同一事業所に6ヶ月勤務していると支給されていた育児休業職場復帰給付金が、育児休業期間中に全額支給されることになったことだ。
育児休業取得者にとっては喜ばしいことではあるが、実は,この職場復帰後6ヶ月経たないと支給されないという制度については,舛添厚生労働大臣が就任間もない頃、異議を称えていたことがあった。職場復帰後6ヶ月経たないと支給されないというのでは、育児休業中の労働者の生活支援にならないというようなものであった、と記憶している。それが、今回の改正で見直されることになったのであるから,舛添大臣の意向が今回の改正案に反映されることになったということである。
しかし、職場復帰給付金というのは、官僚が明確な目的を持って制度化したものである。即ち,育児休業を機会に職場を退く女性社員が70%にも達することから,その職場復帰を促すために設けたのであり、その額を増額したというのもその効果をより一層高めたいとしたことから実施したものである。給付額を増額したのが,平成19年4月の改正時であり、まだ2年しか経っていない。効果を見極めるには2年はいかにも短い。今回の見直しは、その効果を見極める期間を中断しても、舛添大臣が自らの意向を押し通したかのようにも見える。それはそれで、大臣としての見解であろうが、ただ、そういうことをしていては、大臣と官僚の関係がこじれることになるのではないかという心配がある。厚生労働行政は国民の生活に直結するものである.大臣と官僚の関係がこじれていてはまずいであろう。藤原紀香と陣内智則の関係がこじれるのとはわけが違う。