勝った方に正義があるというのであれば、自力救済権を認めておかなくてはならない。しかし、自分で自力救済を行うというのは大変なことである。そこで、自分の自力救済権を放棄するかわりに、他の権力者に守ってほしいという要求が生まれる。その要求にまず応じるのは領主であろうが、領主も他人の保護を引きうけたうえ、自身も自力救済を行わなければならないとすれば大変な負担になる。そこで、領主は保護を求める人々を引き連れて、より大きな自力救済力をもつ国王に奉仕することを誓約して、自分とその保護民の保護を国王に求めることになる。
ここに、封建主義が成立することになるが、こうした体制が整備されてくると、元の領主に属していた領民は元の領主と国王の二重の保護を受けているということになる。保護を受けることの代償として何らかの義務を強要されるのであるから、これは無駄な感じを受け始める者も出てこよう。ことに、自由な空気に馴染んだ都市住民には、その傾向が強かろう。
とすれば、都市住民は何も元の領主の保護を受けるまでもなく、直接、国王の保護を受けた方が効率的ではないかと考え始める。当然、元の領主は妨害するであろうが、その時、国王が都市住民に荷担すると、元の領主も抵抗できなくなる。こうして、都市は国王の支配下に入り、絶対王政が整っていく。